社会教育及び学校教育の連携・協働についての施策や取組の主な経緯

 社会教育分野における施策や取組  学校教育分野における施策や取組
 昭和49
(1974)年

 社会教育審議会「在学青少年に対する社会教育の在り方について―家庭教育、学校教育と社会教育との連携-(建議)」
「学社連携」
 青少年期において豊かな人間形成を図るためには、従来の学校教育のみに依存しがちな教育に対する考え方を根本的に改め、家庭教育、学校教育、社会教育がそれぞれ独自の教育機能を発揮しながら連携し、相互に補完的な役割を果たし得るよう総合的な視点から教育を構想することが重要であると提言。

 
 昭和61(1986)年    
臨時教育審議会第二次答申
「生涯学習体系への移行」を提言。
 初等中等教育の改革(徳育の充実、基礎・基本の徹底、学習指導要領の大綱化、初任者研修制度の導入、教員免許制度の弾力化)

 昭和63
(1987)年
 
 臨時教育審議会第三次答申
「生涯学習体系への移行のための基盤整備」等を提言。


  臨時教育審議会第四次答申
「個性重視の原則」(画一性、硬直性、閉鎖性を打破して、個人の尊厳、自由・規律、自己責任の原則)
「生涯学習体系への移行」(学校中心の考え方を改め、生涯学習体系への移行を主軸とする教育体系の総合的再編成を図っていかなければならない)
「変化への対応」(最も重要な課題は国際化並びに情報化への対応)
等を提言。

 平成 8
(1996)年

 生涯学習審議会「地域における生涯学習機会の充実方策について(答申)」
「学社融合」
 「学社連携」は学校教育、社会教育の仕分けは行われたが、必要な連携・協力は必ずしも十分でなかった。
 学校教育と社会教育がそれぞれの役割分担を前提とした上で、そこから一歩進んで、学習の場や活動など両者の要素を部分的に重ね合わせながら、一体となって子供たちの教育に取り組んでいこうという考え方。
「地域社会に根ざした学校」
 学校は社会から孤立して教育を進めることはできないのであり、生涯学習時代の学校として期待される教育機能を十分に発揮し得るために、地域社会に根ざした学校として、地域社会に開かれ、地域社会とともに発展していく姿勢が求められると述べ、「地域とともにある学校」と親和性を持つという概念を提起。

 
中央教育審議会(答申)
「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について」
「開かれた学校」
 ゆとりのある中で「生きる力」を育てる教育への転換をめざして、学校週五日制の導入と新しい精選された教育の実施を提言。
 今後は学校が社会に対して「開かれた学校」となり、家庭や地域社会とともに子供を育てていくことが重要だと提言。
 開かれた学校を提言した背景には、そのころ「いじめ」や「登校拒否」の問題への社会的関心が高まっていた。
 中教審はこれらの問題について、学校が家庭や地域の関係機関と協力して問題解決に当たる必要性を指摘し、学校と地域社会相互間の信頼関係を深めるために「開かれた学校」づくりの必要性を提言。

 平成10
(1998)年
   
中央教育審議会「今後の地方教育行政の在り方について(答申)」
 学校が地域住民の信頼にこたえ、家庭や地域が連携協力して教育活動を展開するためには、学校を開かれたものとするとともに、学校の経営責任を明らかにするための取組が必要。
 今後、より一層地域に開かれた学校づくりを推進するためには学校が保護者や地域住民の意向を把握し、反映するとともに、その協力を得て学校運営が行われるような仕組みを設けることが必要として、学校評議員の設置、教育モニター、教育アドバイザー等の活用、地域住民に対する積極的な情報提供、ボランティアの受け入れ体制の整備などを提言。

 平成11
(1999)年
 
生涯学習審議会答申
「生活体験・自然体験が日本の子どもの心をはぐくむ」
 異年齢の友だちや地域の人々とのかかわりの中で,様々な体験をする機会を提供し,子どもたちに「生きる力」をはぐくんでいくことが重要と提言。

 

  「全国子どもプラン(緊急3か年戦略)」
 平成14年度からの完全学校週5日制の実施に向けて,地域で子どもを育てる環境を整備し,親と子どもたちの活動を振興する体制を整備。
 子どもの多彩な体験活動の機会と場の充実を提起。

 平成12
(2000)年
   
「教育改革国民会議報告-教育を変える17の提案-」
「コミュニティ・スクール」提案
 地域の信頼に応える学校づくりを進めるために「新しいタイプの学校(コミュニティ・スクールなど)の設置を促進する」ことを提案。

学校評議員制度導入 「学校教育法施行規則」改正  第49条
第49条小学校には、設置者の定めるところにより、学校評議員を置くことができる。
2学校評議員は、校長の求めに応じ、学校運営に関し意見を述べることができる。
3学校評議員は、当該小学校の職員以外の者で教育に関する理解及び識見を有するもののうちから、校長の推薦により、当該小学校の設置者が委嘱する。
 校長が、必要に応じて学校運営に関する保護者や地域の方々の意見を聞くための制度。

 平成14(2002)年
 「新子どもプラン」実施
 子どもたちが日常的に活用できる「スポーツ・健康手帳」の配付,衛星通信設備(エル・ネット)を活用して参加型の番組等を提供するなど,地域の体験活動等の体制整備や情報提供。
 地域の大人の協力を得て,放課後等に安全・安心して活動できる子どもの居場所(活動拠点)の確保,地域におけるボランティア活動の推進,環境省などと連携した共同事業など,子どもを核とした地域の様々な活動の機会と場の拡大 。
 地域での子育てサポーターの資質向上など,家庭教育への支援。

 
 平成16
(2004)年
 
 中央教育審議会「今後の学校の運営の在り方について(答申)」
「学校運営協議会制度導入」
 公立学校の運営に保護者や地域住民の参画を求めることにより、学校を内部から改革すること等を提言。
 

 地教行法改正 第47条の5 学校運営協議会の設置
 教育委員会は、教育委員会規則で定めるところにより、その所管に属する学校のうちその指定する学校の運営に関して協議する機関として、当該指定学校ごとに、学校運営協議会を置くことができる。

 地域の住民や保護者のニーズを学校運営により一層的確に反映させる仕組みとして、学校運営協議会制度が導入される。

 平成16
(2004)年

から

平成18年度まで
 地域子ども教室推進事業
 子どもたちに関わる重大事件の続発など,青少年の問題行動の深刻化や地域や家庭の教育力の低下等の緊急的課題に対応し,未来の日本を創る心豊かでたくましい子どもを社会全体で育む事業。
 
 平成18
(2006)年

教育基本法改正
(学校、家庭及び地域住民等の相互の連携協力)
 第13条 学校、家庭及び地域住民その他の関係者は、教育におけるそれぞれの役割と責任を自覚するとともに、相互の連携及び協力に努めるものとする。
 
 平成19
(2007)年

 「放課後子どもプラン」実施
 厚生労働省の「放課後児童健全育成事業」と連携した「放課後子どもプラン」
 文部科学省は「放課後子ども教室推進事業」
 様々な体験・交流活動等に加えて,家庭の経済力等にかかわらず,学ぶ意欲のある子どもたちに学習機会を提供する取組を充実することを目指したもの。

 
学校教育法改正 42条学校の評価
 小学校は文部科学大臣の定めるところにより当該小学校の教育活動その他の学校運営の状況について評価を行い、その結果に基づき学校運営の改善を図るための必要な措置を講ずることによりその教育水準の向上に努めなけらばならない。
 自己評価:学校自らの評価
 学校関係者評価:保護者その他の関係者による評価

 平成20
(2008)年
 
教育振興基本計画策定
基本的方向1:社会全体で教育の向上に取り組む
①学校・家庭・地域の連携・協力を強化し、社会全体の教育力を向上させます。
・広く全国の中学校区で「学校支援地域本部事業」など、地域ぐるみで学校を支援し子供たちを育む活動を推進します。
・コミュニティ・スクールの設置促進、地域の実情に応じた学校選択制、教育効果を高めるための学校の適正配置など、家庭・地域と一体となって学校の活性化に向けた取組を進めます。
・広く全国の小学校区で「放課後子どもプラン」など、放課後や週末の子供たちの体験・交流活動等の場づくりを推進します。

 

 社会教育法改正
 学校支援地域本部事業実施
 これからの教育は、学校だけが役割と責任を負うのではなく、これまで以上に学校、家庭、地域の連携協力のもとで進めていくことが不可欠となっている。
 平成18年に改正された教育基本法、「学校、家庭及び地域住民等の相互の連携協力」の規定を具体化する方策の柱であり、学校・家庭・地域が一体となって地域ぐるみで子供を育てる体制を整える。
 学校教育の充実、生涯学習社会の実現、地域の教育力の向上をそのねらいとしている。

 平成23
(2011)年

学校運営の改善の在り方等に関する調査研究協力者会議
「子どもの豊かな学びを創造し、地域の絆をつなぐ~地域とともにある学校づくりの推進方策~」を提言。
○子供を中心に据えた学校と地域の連携
 子どもの『生きる力』は、多様な人々と関わり、様々な経験を重ねていく中でよりはぐくまれるものであり、学校のみではぐくめるものではなく、保護者は家庭教育の責任者として、地域住民は地域教育の担い手として、それぞれの責任があり、子どもたちをどのように育てていくのかについて、学校に求めるだけではなく、当事者として自分達の持ち場で積極的に関わっていくという意欲が求められる。
 子どもたちの豊かな育ちを確保するために、すべての学校が、地域の人々と目標(『子ども像』)を共有した上で、地域と一体となって子どもたちをはぐくむ「地域とともにある学校」となることを目指すべきである。
○地域とともにある学校づくりの促進
 新たな視点として、大人の学びの場となる学校、地域づくりの核となる学校を挙げている。
 目指すべき学校運営の在り方として、学校と地域の人々が一体となって地域の子どもたちを育てていくためには、まず、学校と地域の人々が、子どもたちの実態について認識を共有した上で、地域でどのような子どもを育てるのか、何を実現していくのかという目標(「子ども像」)を共有することが必要である。
 子どもを中心に据えた学校と地域の人々の「協働」の中核となる場として、学校運営への地域の人々の積極的な参画が求められる。
 「開かれた学校づくり」から「地域とともにある学校」への転換は、保護者や地域住民を、説明責任を受けたり、学校支援を行ったりする立場から、学校とともに子供たちの豊かな育ちを担う当事者として明確に位置付け直す。
社会教育分野で提起された「地域社会に根ざした学校像と親和性を持つものであり、社会教育分野と学校教育分野における学校と地域の連携・協働についての施策や取組を一体化させる基盤となる。
 
 平成25
(2013)年

 第2期教育振興基本計画策定
 ・絆づくりと活力あるコミュニティの形成       ・互助・共助による活力あるコミュニティの形成
 ・全学校区に学校と地域の連携・協働体制を構築    ・コミュニティ・スクールを全公立小中学校の1割に拡大
 ・コミュニティ・スクール、学校支援地域本部等の普及 ・家庭教育支援体制の強化など
 ・全学校等で評価,情報提供など

 中央教育審議会生涯学習分科会「第6期中央教育審議会生涯学習分科会における議論の整理」
 絆づくりと活力あるコミュニティの形成に向けた学習活動や体制づくりの推進
 社会全体で子どもたちの活動を支援する取組の推進
 地域住民が積極的に参画して子どもたちの学びを支援し、社会全体で子どもたちを育むことができるようにするためには、学校と地域が連携・協働する体制づくりが重要。
 学びの場を核にした地域コミュニティの形成の推進。
等を提言。

 
 
土曜授業の実施に係る学校教育法施行規則の一部改正
 土曜日において、子供たちに、これまで以上に豊かな教育環境を提供し、その成長を支えることが重要。そのためには、学校、家庭、地域が連携し、役割分担しながら、学校における授業や地域における多様な学習、文化やスポーツ、体験活動等の機会の充実に取り組むことが重要。
 子供たちに土曜日における充実した学習機会を提供する方策の1つとして土曜授業を捉え、設置者の判断により、土曜授業を行うことが可能であることをより明確化するため、学校教育法施行規則を改正。

 平成26 (2014)年  土曜日の教育活動スタート
・土曜授業
・土曜日の課外授業
・土曜学習

 コミュニティ・スクールの推進等に関する調査研究協力者会議「コミュニティ・スクールの推進等に関する調査研究協力者会議におけるこれまでの審議の整理」
「地域とともにある学校」
 コミュニティ・スクールと学校支援地域本部について、両者の一体的な推進。
 自治体内の学校教育担当者と社会教育担当者との連携が十分でなく、情報や課題の共有化が図られていない。
 関連する取組を一体的に捉え、効果的に推進していくためには、まずは、自治体内における連携・協働の体制づくりを進めていくことが期待される等を提言。

 平成27
(2015)年

 「地域未来塾」実施 
 中学生を対象に、放課後や土曜日、夏休み等に、学校の空き教室や図書室、公民館等において、退職教員や大学生等の地域住民等の協力により学習支援を実施。

 
 平成27
(2015)年

中央教育審議会「新しい時代の教育や地方創生の実現に向けた学校と地域の連携・協働の在り方と今後の推進方策について(答申)

第1章 時代の変化に伴う学校と地域の在り方
 開かれた学校から一歩踏みだし、地域の人々と目標やビジョンを共有し、地域と一体となって子どもたちを育む「地域とともにある学校」」への転換。
第2章 これからのコミュニティ・スクールの在り方と総合的な推進方策
 学校運営協議会の目標として、学校を応援し、地域の実情を踏まえた特色ある学校づくりを進めていく役割の明確化。
第3章 地域の教育力の充実と地域における学校との協働体制の在り方
 地域と学校がパートナーとして、共に子どもを育て、共に地域を創るという理念に立ち、地域の教育力を向上し、持続可能な社会を創ることが必要。
 地域と学校が連携・協働して、地域全体で未来を担う子どもたちの成長を支えていく活動を「地域学校協働活動」として積極的に推進する。
第4章 コミュニティ・スクールと地域学校協働本部の一体的・効果的な推進の在り方
 コミュニティ・スクールと社会教育の体制としての地域学校協働本部が相互に補完し高め合う存在として、両輪となって相乗効果を発揮していくこと。
 
 平成29
(2017)年
 
学習指導要領告示
  小学校:令和2年度から実施
  中学校:令和3年度から実施
「社会に開かれた教育課程」 
 教育課程を通して,これからの時代に求められる教育を実現していくためには,よりよい学校教育を通してよりよい社会を創るという理念を学校と社会とが共有し,それぞれの学校において,必要な学習内容をどのように学び,どのような資質・能力を身に付けられるようにするのかを教育課程において明確にしながら,社会との連携及び協働によりその実現を図っていくという,社会に開かれた教育課程の実現が重要となる。
 

 社会教育法改定
 地域学校協働活動の推進
 地域住民等と学校と協働して行うものを「地域学校協働活動」というとの定義づけ。
 地域住民等と学校との連携協力体制の整備。
 地域学校協働活動推進員の委嘱。

 地方教育行政の組織及び運営に関する法律改訂 第47条の6
 学校運営協議会の充実
 当該学校の運営及び当該運営への必要な支援に関して協議する機関と位置づける。
 市町村教育委員会に対して設置努力義務を課す。
 運営委員に地域学校協働活動推進員を追加。


令和2
(2020)年

小学校で新学習指導要領全面実施
   社会に開かれた教育課程の実現
                                                                                                
令和3
(2021)年

中学校で新学習指導要領全面実施
   社会に開かれた教育課程の実現